もっと注意深くはぐくめば,結婚生活はさらに幸せなものになります。
愛する兄弟姉妹,皆さんが主と主の福音を愛していることに感謝しています。道徳が廃れ,結婚が地に落ちた現代にあって,皆さんは,どこに住んでいようと,義にかなった生活の模範です。
世界中を旅する幹部の兄弟たちは,時々気になる光景を見かけます。最近,飛行機で,ある夫婦の後ろに座りました。妻が夫を愛しているのは明らかでした。夫のうなじをなでる妻の指には結婚指輪がありました。妻は夫の気を引こうと,夫にもたれかかったり,頭を夫の肩の上に載せたりしていました。
しかし,夫は妻の存在を意に介していないようです。ひたすらコンピューターゲームをしていました。着陸するまでずっと,夫は小さなゲーム機に夢中でした。妻に一度も目を向けず,話しかけることもなく,優しさを求める妻に,無関心でした。
そんな夫に,大声で言いたくなりました。「君,目を開けて! 見えないのかい? ほら,よく見て! 奥さんは君を愛しているんだよ! 君を必要としているんだ!」
この夫婦について,それ以外のことは何も知りません。あれ以来,会ったこともありません。わたしは心配しすぎなのかもしれません。そして,わたしの心配を知ったとしても,あの夫の目には,コンピューターゲームの遊び方を知らないわたしの方こそ,気の毒に映るのかもしれません。
しかし次のことは熟知しています。「男女の間の結婚は神によって定められたものであり,家族は神の子供たちの永遠の行く末に対する創造主の計画の中心を成すもの」1であるということを,わたしは知っています。また,地球が創造され,主の教会が回復されたのは,家族が永遠に結び固められ,昇栄を受けるためであるということを,わたしは知っています。2 そして,主の業の根幹を揺るがすために,サタンが巧妙な手段で,結婚と家族という神聖な制度を攻撃しているということを,わたしは知っています。
結婚には,どんな人間関係にも増して,大きな幸福をもたらす可能性があります。しかし,その幸福を十分享受していない夫婦もいます。そのような夫婦は,恋心が薄れ,互いの存在を当たり前に思い,ほかへの興味や無関心の影を放置しているため,結婚の本来の姿を見失っています。もっと注意深くはぐくめば,結婚生活はさらに幸せなものになります。
成熟した独身の教会員が大勢いることを理解しています。自身に非はなくとも,彼らは人生の試練に一人で対処しています。忠実な聖徒には,主御自身の方法と時にかなってすべての祝福が与えられることを,皆が思い起こせますように。3 既婚者にも,これから結婚する人にも,喜びに満ちた結婚生活を送る二つのステップを紹介しましょう。
Ⅰ.教義上の基礎
最初のステップは,結婚の教義上の基礎を理解することです。結婚とは一人の男性と一人の女性の合法的な結びつきであると主は宣言されました。「結婚は人のために神によって定められている……。
それゆえ,人が一人の妻を持つこと,また彼ら二人が一体となることは正当である。これはすべて,地がその創造の目的にかなうためであ〔る。〕」4
悲しいことに,世界は結婚に別の定義を与え,結婚制度を破壊する方向に進んでいます。そのような陰謀は,神の計画に反しています。
「それゆえに,人は父母を離れ,その妻と結ばれ,ふたりの者は一体となるべきである」5と言われたのは神御自身なのです。
聖文は,さらにこう断言しています。「主にあっては,男なしには女はないし,女なしには男はない。」6
結婚とは,社会秩序を作り出す鋳造所,美徳の源泉,そして,永遠の昇栄への基盤です。結婚とは,永遠の聖約として神が定められたものです。7 結婚とは,
聖い心で大切にし,敬うなら,聖められるものです。結婚のきずなは,夫婦だけのものではありません。神もそのきずなの中におられます。8 「夫婦は,互いに愛と関心を示し合う……厳粛な責任を負っています。」9 そのきずなの下に生まれた子供は「神から賜わった
嗣
業」10です。家庭生活を花にたとえるなら,結婚はまだほんのつぼみで,花が咲くのは親になってからです。その花束は,孫に恵まれるときに,いっそう美しく咲き誇ります。家族は,神の王国のように,永遠になり得るのです。11
結婚は,戒めでもあり,人を高める福音の原則でもあります。12 結婚は神が定められたので,
伴侶がお互いに肉体的に愛を表現することは神聖なことです。しかしその
賜物の神聖さが,あまりにも損なわれています。下品な言葉やポルノグラフィーで夫婦の性的関係を汚すなら,その聖なる賜物の価値を損なうだけでなく,創造主を不快にさせてしまいます。真の幸福は,自分の清さに懸かっています。13 聖文は「清くありなさい」14と命じています。結局のところ,結婚とは,夫婦を日の栄えの昇栄へと高めるための聖約なのです。
主は結婚を,死を越えて継続するものと定められました。主は家族を,神の王国において永遠に続くものとして計画されました。主は神殿を備え,生者と死者のために神殿で儀式を行うように計画されました。神殿で結び固められた夫婦は,神の業を完成させるために欠くことのできない,大いなるきずなを築き始めるのです。15
結婚に関する教義は,個人の選択の自由と責任にまで及びます。人は皆,自分の選択について説明する義務があります。子供に恵まれた夫婦は,子供にどれほど愛情を注いだか神に報告する義務があるのです。
神権指導者と面接するときに,わたしはよく,どのような優先順位で責任を果たしていますか,と尋ねます。すると彼らは普通,教会の重要な召しについて話します。家庭での責任について思い出す人はわずかです。しかし,神権の職も,
鍵も,召しも,定員会も,家族を昇栄させるためにあるのです。16 神権の権能が回復されたのは,家族を永遠に結び固めるためです。ですから兄弟たち,神権者として最大の務めは,結婚に養いを与えること,すなわち妻を気遣い,敬い,たたえ,愛することです。妻と子供にとって祝福となってください。
Ⅱ.夫婦のきずなを強める
以上の教義上の基礎を心に留め,第2のステップ,すなわち,夫婦のきずなを強める具体的な行いについて,一緒に考えましょう。これから幾つか提案をしますので,夫婦でよく考えて,自分たちの状況に応じて必要なものを取り入れてください。
わたしの提案は「感謝する」「理解し合う」「熟慮する」という,行為を表す3つの動詞から成ります。
「感謝する」つまり「愛しているよ」とか「ありがとう」と言うのは,難しいことではありません。しかし,このような愛と感謝の言葉は,優しい心遣いに礼を言う以上の何かを表します。それは優しい礼儀となります。伴侶が感謝の心をもって互いにそれぞれの長所を探し,真心から褒め合うようになると,妻も夫も,相手の褒め言葉にふさわしい人間になろうと努力するようになるのです。
二つ目の提案――伴侶とよく「理解し合う」こと――これもまた大切です。よく理解し合うとは,時間を取ってともに計画することでもあります。夫婦は,互いに意見を述べ,話し,相手が言うことに耳を傾けるために,二人だけの時間が必要です。協力し,同等のパートナーとして助け合う必要があります。肉体的にも,霊的にも,もっと親密になる必要があります。高め合い,励まし合うように努力する必要があります。互いに目標を理解したときに,夫婦はさらに一致します。祈りによっても相互理解が深められます。伴侶の善い行い(あるいは必要)について,具体的に祈るなら,夫婦のきずなが強められます。
3つ目の提案は「熟慮する」ことです。この言葉の英語contemplateには,深い意味があります。もとはラテン語で,conは「一緒に」,templumは「
瞑想するための空間や場所」という意味です。「神殿」を意味するtempleも同じ語源です。夫婦が度々一緒に神殿で熟慮するなら,神聖な聖約をもっとよく記憶し,守ることができるでしょう。神殿に度々参入し,家族で定期的に聖文研究をするなら,夫婦のきずなをはぐくみ,家族の信仰を強めることができます。熟慮することを通して,夫婦の思いが完全に一致し,また,主とも一致するようになります。熟慮することを通して,夫婦関係も,神の王国も発展します。主は言われました。「この世のものを求めないで,まず,神の王国を築き,神の義を打ち立てることを求めなさい。そうすれば,これらのものはすべて添えて与えられるであろう。」17
既婚者一人一人がこの提案についてよく考え,きずなを強めるための具体的な目標を立てるように勧めます。まず心から望んでください。霊的な一致と目的を増すために必要な行動を見つけてください。何より,利己心を捨ててください! 無私の心と寛容の精神を持ってください。比類ない賜物が天から与えられていることを,毎日ともに祝ってください。
ハロルド・B・リー大管長は言いました。「わたしたちが携わる主の業の中で最も重要なものは,わたしたち自身の家庭という囲いの中で行われるものである。」18 また,デビッド・O・マッケイ大管長は宣言しました。「いかなる成功も家庭における失敗を償うことはできない。」19
夫と妻が,二人のきずなには神聖な目的があると悟ったとき,神がお互いを会わせてくださったのだと深く悟ることができたとき,皆さんの視界は広がり,理解が深まることでしょう。そのような思いが,わたしが長年愛唱している歌の歌詞の中に表されています。
君はぼくのもとに来た
ただ愛だけを携えて
君はぼくの手を握り,目を上げてと言った
すると,広い世界と希望と喜びが見えた
君が来てくれたから!
君はぼくに優しく語りかけた
足もとにはバラが咲いていた
涙と喜びを通り抜け,
ぼくは君にたどり着いた
君が語りかけてくれたから!
神は君をぼくに下さった
君を大切にするよ
光と
闇をくぐり抜け,いつまでも
神の愛でぼくらの愛が聖められますように
神が君をぼくに下さったから! 20
すべての夫婦がきずなを強められますよう,イエス・キリストの
御名によって祈ります。アーメン。
注
1. 「家族――世界への宣言」『リアホナ』2004年10月号,49,第1段落
2. 聖文で「全地はことごとく荒廃するであろう」と警告されているとき,その警告は必ず,聖なる神殿で家族を結び固める神権の権能の必要性について言及している(教義と聖約2:3;138:48;ジョセフ・スミス―歴史1:38参照)。
3. ジョセフ・フィールディング・スミス『救いの教義』ブルース・R・マッコンキー編,全3巻,第2巻,69参照
4. 教義と聖約49:15-16
5. マタイ19:5。マルコ10:7-8も参照
6. 1コリント11:11
7. 教義と聖約132:19参照
8. マタイ19:6 参照
9. 「家族――世界への宣言」第6段落
10. 詩篇127:3
11. 教義と聖約132:19-20参照
12. ジョセフ・フィールディング・スミス,“The Way to Perfection”第10版(1953年),232-233参照
13. アルマ41:10参照
14. 教義と聖約38:42。イザヤ52:11;3ニーファイ20:41;教義と聖約133:5も参照
15. 教義と聖約128:15-18参照
16. 教義と聖約23:3参照
17. ジョセフ・スミス訳マタイ6:38(マタイ6:33〔英文〕脚注 a)
18. Stand Ye in Holy Places(1974年),255
19. J・E・マッカロック,Home: The Savior of Civilization(1924年),42から引用;Conference Report,1935年4月,116
20. “Because”エドワード・テシュメーカー作